AI株システムはどう作る?株初心者が「勉強→検証→ペーパー」まで進む7ステップ
「AIで株のシステムを作ってみたい。でも、Pythonから勉強するの? 先に証券口座を用意するの? それともAIに全部頼めばいいの?」
私も最初は、どこから始めればよいのか分かりませんでした。
AIに条件を伝えてコードを書いてもらえば、すぐ完成へ近づくようにも見えます。ところが実際には、コードが動いたあとに、未来の情報を混ぜていないか、株価データが欠けていないか、その時刻に本当に使えた情報なのか、といった別の問題が次々に出てきました。
この実験室では一度、実際のお金を使わず、仮想の売買で試す「リアルタイムのペーパートレード」まで進みました。しかし、判定時刻に必要なデータを本当に取得できていたと証明できず、そこで止めて振り返り検証へ戻しています。
この記事では、その失敗を踏まえて私が採用している、AI株システム作りの7ステップを初心者向けに整理します。
30秒で結論
最初の目標は、AIに自動で株を買わせることではありません。
先に作るべきなのは、「人が決めた売買ルールを、同じデータなら同じ結果になるように繰り返し検証できる状態」です。
この実験室では、次の順番で進めています。
| 段階 | すること | 次へ進む前の確認 |
|---|---|---|
| 1|基礎 | 必要な言葉だけ理解する | 使うデータと条件を説明できる |
| 2|ルール | 売買条件を文章で固定する | 曖昧な項目が残っていない |
| 3|コード | AIにコード化を手伝わせる | 仕様どおり動くテストが通る |
| 4|過去検証 | 正しく測れるか確認する | 欠損・未来情報を見逃さない |
| 5|固定検証 | 条件を変えず追加で測る | 変更案は別実験に分ける |
| 6|Realtime | 実資金なしで運用を試す | 遅延・再起動・二重実行を確認 |
| 7|実売買 | 安全条件がそろってから検討する | 最大損失と緊急停止を決める |
この7ステップは、すべての人に共通する唯一の正解ではありません。私が実際に止まった経験から決めた、安全寄りの進め方です。
ステップ1|必要な言葉だけ理解する
最初から株やプログラミングの用語を全部覚える必要はありません。
まずは、自分の売買ルールに登場する言葉だけを理解します。この実験室なら、5分足、ローソク足、出来高、一般的なVWAPと本システムのVWAP相当値、シグナル、エントリー、利確・損切りなどです。
5分足の読み方は「株の5分足とは?初心者がAI株システムで実際に使って分かった見方」で、シグナルの意味は「株のシグナルとは?『上がる予想』と『条件成立』は何が違う?」で詳しく説明しています。
この段階のゴールは、専門家になることではありません。
「どんなデータを見て、何がそろったら買い候補とするのか」を、自分の言葉で説明できれば十分です。分からない用語は「AI株システム超初心者の用語集」で確認できます。
ステップ2|売買ルールを文章で固定する
AIへ「勝てる戦略を作って」と頼むだけでは、検証条件が曖昧なまま変わりやすくなります。
コードを書く前に、少なくとも次の項目を文章で決めます。
- どの銘柄・時間帯・データを使うか
- 何を満たしたらシグナルとするか
- シグナルのあと、どの価格で入ったことにするか
- どこで利確・損切りするか
- 何本または何分まで保有するか
- 手数料やスリッページをどう扱うか
- データ欠損や判定不能が起きたらどうするか
ここで決めていない部分を、AIに都合よく補わせないことが大切です。
この実験室では、シグナルが確定した5分足の終値ではなく、次の5分足の始値を仮想エントリー価格にしています。理由は「エントリーとは?なぜシグナルが出た5分足の終値で買ったことにしないのか」で説明しています。
ステップ3|AIにコード化を手伝わせ、動作をテストする
売買ルールを文章で固定したら、AIにコード化を手伝わせます。
ただし、コードがエラーなく動いたことと、正しい売買判定ができることは別です。さらに、正しく動くことと、将来利益が出ることも別です。
そこで、通常のデータだけでなく、条件の境目、データ不足、同じ5分足で利確と損切りの両方に触れた場合などもテストします。
この段階で確認できるのは、「決めた仕様どおり動くか」までです。戦略が勝てるかどうかは、次の検証で確かめます。
ステップ4|過去データで「正しく測れるか」を確認する
最初の検証では、利益の大きさより先に、結果を正しく測れているかを確認します。
- 必要なデータ本数がそろっているか
- 時刻を勝手に読み替えていないか
- シグナル件数と売買価格を再現できるか
- 手数料とスリッページが反映されているか
- 未来の情報を使っていないか
- データが欠けたときに無理に0件へしていないか
バックテストは、すでに終わった過去のデータを使います。Daily Replayは、この実験室で使っている呼び方で、市場終了後に確定した5分足を時間順に再生する振り返り検証です。
両者とリアルタイム検証の違いは「バックテストとペーパートレードの4段階」で整理しています。
測定できなかった日を、シグナルが出なかった日として扱わない。この区別ができて、初めて勝ち負けの数字を見る準備が整います。
ステップ5|結果を見ても、途中で条件を変えない
良い結果が出ると、「利確幅を少し変えたらもっと良くなるかも」「この条件だけ外したら勝てるかも」と試したくなります。
しかし、結果を見ながら調整を繰り返すと、過去のデータに合うだけのルールになる危険があります。これは過学習と呼ばれる問題です。「過学習とは?バックテストを良くしすぎると危ない理由」でも詳しく説明しています。
そのため、この実験室の20営業日検証では、銘柄や売買条件を途中で変えません。変更案が出ても、今の検証へ混ぜず、別の実験として残します。
ただし、20営業日測れば有効性が証明できるわけではありません。固定条件で測ることは最初の一歩であり、その後も別期間のデータなどで追加確認が必要です。
ステップ6|リアルタイムのペーパートレードを別試験にする
ペーパートレードとは、実際のお金を使わず、実際の相場データに対して仮想の売買判断を行い、仕組みが想定どおり動くかを確かめる検証です。
バックテストとの違いは「バックテストとペーパートレードは何が違う?実際にやって分かった4つの段階」で説明しています。
過去データで動いたからといって、そのまま実売買へ進めるわけではありません。
リアルタイムでは、データ遅延、取得失敗、時刻ずれ、再起動、二重実行など、振り返り検証では見えにくい問題が出ます。
私のシステムも、リアルタイム前提のデータ取得を証明できず、一度止まりました。その経緯は「AI株システムを止めた理由。yfinanceの5分足をリアルタイム前提で使ったら、初日の検証が成立しなかった」に残しています。
だから、Realtime Paper Tradeは「過去検証の続き」ではなく、「その瞬間に本当に使えた情報だけで動けるか」を確かめる別の資格試験として扱います。
現在、この実験室のRealtime Paper Tradeは凍結中です。条件が整っていないのに、動いたことにはしません。
ステップ7|実売買は、すべての確認が終わったあとに考える
実売買では、計算上の損益ではなく、本当の注文と損失が発生します。
そのため、シグナルを注文へ変える機能だけでは足りません。
- 1回・1日あたりの最大損失
- 同時に保有する上限
- 注文の重複防止
- 証券会社の残高や注文との突き合わせ
- 異常時に止める緊急停止機能
- 想定外の値動きや通信障害への対応
こうした運用面まで確認し、損失を受け入れられる資金の範囲を決めたうえで、初めて実売買を検討します。
この実験室では、Live Tradingを無効にしています。過去検証で良い日があっても、自動的に実売買へ進むことはありません。
この実験室の現在地
現在は、3銘柄を固定し、1日あたり各64本、合計192本の5分足を使う20営業日のDaily Replayを進めています。
これは市場終了後の確定データを使う振り返り検証であり、リアルタイム取引でも実売買でもありません。
今確認しているのは、利益を急いで増やせるかではなく、同じ条件で測れるか、結果を再現できるか、異常時に止まれるかです。
今から始めるなら、最初の1枚を作る
最初に高性能PCを買ったり、証券口座と接続したりする必要はありません。
まずは紙やメモに、次の5つを書くだけで十分です。
- 何のデータを見るか
- 何がそろったらシグナルか
- いつ、どの価格で入ったことにするか
- どこで終えるか
- 測れないときはどう止めるか
この1枚をAIへ渡し、「決まっていない点を勝手に補わず、曖昧な点を質問して」と頼むところから始める方が、いきなり自動売買を作るより安全です。
まとめ
- AI株システム作りは、いきなり自動売買から始めない
- 先に売買ルールを文章で固定する
- コードが動く・正しく測れる・将来勝てる、を分けて考える
- 過去検証とリアルタイム検証を別の試験にする
- 条件が整うまで実売買へ進まない
この順番を守れば必ず成功するわけではありません。
それでも、「動いたから使う」「良い数字が出たから条件を変える」「データが足りないのに0件とする」といった失敗は避けやすくなります。
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※この記事は、AIを活用した株システム開発の個人的な検証記録です。特定銘柄の売買推奨、投資助言、利益保証を目的としたものではありません。過去の検証結果やペーパートレードの結果は、将来の投資成果を保証するものではありません。